1999 NHK杯国際フィギュアスケート競技大会(第21回)-2

12/04

翌日、フリーの日です。
何にしても、昨日の帰りがけの会話。

「ね、滑走順、知ってる?」「え゛、知らない。。。ま、まさか!?」「うん」「一番!!?」「ひぇ~~~!!!」
あちゃー。なんだってなんだって、そんなんひいちゃうんだよ~(^^;;。
あまりに笑っちゃうような展開に、もう吹っ切ってがんばってもらうしかないよね。

男子の練習がちょうど開場時刻にかぶっていたので、とにかく調子を少しでも見たいと、早めに並んで待ちます。
あと10数分で開場、そのとき、もれ聞こえてくる「古事記」の音楽。。。
ああ、今滑ってる。祈るような気持ち。

開場後、一番近い階段からスタンドへ駆け上がり、リンクを見ると、よかった、いました。第一グループの練習なかば。ちゃんと衣装を着ている。
また通路にもどって「危ないので走らないで下さい」と言われつつ、つい小走りで一番奥の入口へ(アリーナ席まではすごく遠い^^;)。

ひとつひとつ、確認するようにジャンプをくりかえしていました。
決まったり、決まらなかったり。やっぱりダグ氏の所にいく回数が多い。でも思い起こせばいつもこんなだったっけ。
流れを無視して言うと、遠目には、話しているふたりが、なんというか。。。いい雰囲気だったな。

まだ時間は残っていたけど、スタンド両側に挨拶して、練習を終わる模様。
リンクを上がる時、あまりのこちらの心持ちが伝わったのか、ついもらした祈るような「武史くん、がんばって」が聞こえてしまったのか、うすく笑って軽く手を振ってくれる。ああ、でも調子は良くはなさそう。。。病気や怪我じゃないよね・・・。

武史くん第一滑走。ほんっとうに、こんなの予想もしなかった。
表情は? 雰囲気は?
胸がぎゅうっと痛くなるのを押さえて、立っている武史くんを見つめます。
風と鈴の音が流れ始める。。。

これね。音が鳴り始めて数秒後に、「やばい!!」って思っちゃったんです。
あの最初の「ダン!!」ていう音に合わせてビシッととるはずの決めのポーズ、あれが数拍早かった。録画しといた放送を見ると、それはそれで違和感は無いのだけれど、あの場で「あ、焦ってる・・・先走ってる・・・」
そんな思いで一杯になってしまい。

3アクセル、ステップアウト、4トゥ、すっぽ抜けてダブル、もう頭の中が真っ白。3サルコウ、ああ、スピンもステップもすごくきれいになってる、なのに余裕がなく感じるのは、わたしに余裕がないから? ルッツからの3-3、2つ目の着氷が危うい、でもスローパートが本当に上手くなった。。。もう一度3アクセルお手付き、ほんとはコンビにしなくちゃいけないのでは? 3ループ成功、ラスト3フリップ、ああ息が詰まる。

終盤、大好きなイーグル、スケカナのようなうねりがこない。「こんなもんじゃな い、こんなもんじゃない」心でそれをずっと繰り返し、でも彼は今、ほんとに今出せる精一杯の表現を渾身からしているんだ。

フィニッシュのポーズ、競技で最後迄きっちりとることなんて、これが最後だといいな、なんて変なことをぼーっと考えてた(うまくいったら絶対ガッツポーズがはいるから)。

拍手で我に返る。慌てて花束を抱えて前に飛び出す。。。
花束。当初、何か投げるつもりなどまったくなかった。もしSPでそれなりの順位につけてたら、たぶん何も投げなかったと思う。
でも、昨日のSPを観たあと、どうしても何か伝えたくてしょうがなくなってしまった。そして「きっと観た人のことも気にしてる」そんな話をした夕べ。

ホテルで同室したmikakoさんと「花では負けないわ!!」なんて軽口とばしながら、ふたりでつくってもらった花束。中には、会場で会うことができたMLのみんなにそれぞれ書いてもらったメッセージを入れて。

彼が両サイドに挨拶をし終わったら、そっとリンクに落として戻ろう、そう思っていたのに。いたのに。いたのに。。。
こちらを向いた武史くんの表情を見たら、凍りついてしまった。
今投げないと、タイミングが無いよ、わかっているのに。

結局、完全に期を逸してしまった。。。

これについては、相当長時間どよんとしていたようで、まわりの方に気を使わせてしまいました。ごめんなさい。。。
とにかく、ね。
明確な目的の前には、それを遂行しようという意志あるのみ! であります。
彼はもうきっと全日本に向けて走り始めているんだわ。

と、いうわけで。 「全日本に行って来ます!!」
N杯会場では、「行かれないのよ~」なんて言ってたるんですが、こんのやろー、行って見届けてやるぅ!! てな気持ちになってますので、現地に行かれる方、申し訳ないけどまたよろしくお願いしますっ(^^;;。

翌12月5日には、友人の結婚式があるため帰京しなければならず、女子フリーとエキシビションはTV観戦となりました。
エキシビ、この中に武史くんがいないのは凄くさびしい。。。でも、もっともっと先を、もうみなくちゃね。

あ、最後に、関係ないけど、2日間通して一番「こわかった」のは、アイスダンスフリー第二グループの6分間のウォーミングアップでした。
く、空気が変わる、気温が下がる、緊張感びりびり。。。「こ、こあいよ~」半泣き? 状態(笑)。
でも、本番とぉっても美しかったです。はあぁ、溜め息、でした。