2000 NHK杯国際フィギュアスケート競技大会(第22回)-1

00/11/30~12/03/at Asahikawa Taisetsu Arena

氷点下の北の街は、暖かかった。

11/30

競技は本日よりスタート。
ドローの後にコンパルソリーダンスとペアのSP(きつきつで選手も大変だろうな)。

CDはもういつものことだが、ペアも今日なのか。。。
TV放送も削られているため、SPはまったく観れないことになる。
A&B の「Ninja」が確認したかったんですけどね(^^;。仕方ない、次の機会に。

わたしの旭川行きは明日だ。
航空券と競技チケットを何度も確認し、荷物を詰めこむ。
今回は3泊だからね、何をどう持ってったらいいのか・・・といっても、別にいつもと変わらないのだけれど。
それにしても、

旭川はどれほど寒いのか!??

これが大問題だった。
天気予報の数字を信じるなら、リンク内のほうがあったかいことになる。
ま、持ち込み荷物が減って、それはそれで良いか・・・。

ええい、足りなかったら現地調達だ、と適当なところで折り合いをつけ、寝ることにする。
明日は早起きだからね。

12/01

師走である。
人々が走りまわるというこの忙しい月の始めに、わたしもえっらい走らねばならなかった。
そもそもの発端。時間に余裕を持って出たつもりが、接続だの遅延だの時間調整その他云々で予定より大幅にずれこむ。
山手線の中で冷や汗たらたら、ま、まさか乗り遅れるとかそんなことには・・・。何の為に数カ月も前からこの日の切符を取ったのよ。

浜松町駅着。
モノレールへの乗り換え連絡通路途中に、MCAT(シティエアターミナル)がある。
一瞬迷うが(その為に一本遅らせたらホントにやばいから)、しかし思い切って、えい! 航空券を機械に入れる。

OK。良かった。まだここでチェックインできる時間だった。ってことは必然的に、飛行機には間に合う時間ってことよね、と自分に言い聞かせながらホームに駈けあがると、ほどなくモノレールが滑りこんできた。ロスタイム無し。良かった。

滅茶苦茶混んでる車内に無理やり乗り込んでとりあえず安堵し、と。と???? と!!!
しまった!! ルーターの電源切ってくるの忘れた!!

我が家はnetに繋ぎっ放しの環境なのだが、それを切っておかないと旭川から同じトコロに繋げないじゃないの~(T_T)。
以前も同じことやった。もう、何度も繰り返すなんて、あんたは学習能力というものが無いのか!
自分で自分に怒り呆れつつ、でももうしょうがない。あにさん帰宅したらやってもらおう・・・。
♯ついでに、ゴミ出しも忘れていた(^^;。

羽田着、走る!
手荷物検査の長い列に並ぶ、なんでこんなに時間かかってるんだ? 列の進みがのろい。
やばい。やばい。やばい。マジやばい。しかしだからといって前に割り込んでいけない性格(^^;。
並んでいる人数と時間を計算し、なんとかなるとは思ったけれど、念の為係員に時間と便を告げて搭乗口に連絡してもらう。
だって、どうやらバスで移動らしいんだもの。それに乗り遅れたら完全にアウト。

荷物検査を抜けてさらに走る!
どうなってるの、えっと階段を降りて、それからうわー、端っこだー! とにかく走る。

何とか。間に合った。。。
飛びこんだバスは、さらに何人かを待っていたらしく、それからしばらく発車しなかった。
はあぁ・・・助かったけど、、、ごめんなさぁい。
飛行機の、自分の座席に着くまでがツライ。離陸予定時刻は過ぎちゃってるのよね・・・。
すんません、すんません、と既に着席している人たちに心の中でお詫びしつつ。
つ、次は絶対に絶対にもっともっと時間に余裕持って出るぞ。。。(弱々しい)

定刻より10分ほど遅れて離陸。
「現地の天気は晴れ、気温はマイナス10度・・・」

ままま、まいなす10どぉ~!??
うわ。それじゃ、ホントにリンク内より寒い。早朝の気温とはいえ(いや極寒の真冬はこんなもんじゃないでしょうが^^;)。
こう見えても雪国育ち、数メートルを越す雪には少しも驚かないが、逆に豪雪地帯はそこまで気温は下がらんのだ。体感としてわかってないのよ、マイナス10度を。

だけどかえって気が引き締まるね。これから観戦旅行だぁ! って気分もようやく高まってきたし。
晴れ、というのが何より嬉しい、現地悪天候で降りれなかったら、これまた悲劇。
まぁ、この時期ならまだそんな心配もいらないのだろうけど。
札幌経由よりもリスクが高かったのは確かだ。

間もなく、旭川。きらきらと光る陽光。
が、しかし。冬の天気は変わりやすい。あっというまに、雪がちらついてきていた。
(雲を突き抜けたから、ではなく。ほんとに、お天気が変わった)

空港を出て、市内までのシャトルバスに乗る。
普段、こんなに混み合うことなんて、ほとんど無いんだろうな、という風情のバス。
というのも、何かというと、いわゆる観光バス風の・・・座席がふたつずつ並び、真中に補助席がおりるタイプ。
立つことが前提になっていないのだ。

満席になっても、まだ人は並んでいる。次のバスは・・・かなり後。飛行機の発着に合わせてあるから。
運転手さん、無線で臨時バスの出動を要請している。しきりに並んでいる人に謝っている。
ああ、こんなところが。。。なんというか。だって運転手さんのせいじゃないのに。

何だか、このあたりから既に「旭川って・・・あったかい」気分になりはじめていた。
なぁんて・・・いい人たちなんだろ。
30分くらい遅れて、バスはゆっくり市内へと向かう。
旭川駅着。
「バスを降りるときは要注意!」を覚えていたので、そろそろとステップから足を下ろす。
ほんまに道路が凍ってるよ・・・。というか、積もって溶けかけた雪が凍っているのだ。
危険。危険。
だからぁ、雪道歩くのは慣れてるけど凍り道は・・・(しつこい)。

チェックインにはまだ早いので、ホテルに荷物を預かってもらい、ついでに着替えもさせてもらって、駅周辺を散策する。
駅構内には大きくNHK杯のポスターが貼ってあり、また案内の机も出ている。
市バスの職員さんだった。
バス停への略図と、バスの番号、おまけに時刻表までプリントした紙を配っている。

近寄って一枚貰う、すると「今からだったら・・・こちらのほうが早く来るかもしれません」と教えてくれた。
大雪アリーナを経由するバスは2社から運行されている。そのお兄ちゃんは、別会社のバスの時間まで教えてくれたのだった。
あまりに嬉しかったので、お兄ちゃんとこのバスに乗り続けた(笑)。

しかし・・・・・・寒いわ。
めちゃめちゃ寒い。リンク内装備に着替えておいて良かった。
バス停を確認しに行くと、ビルの看板下に「只今の気温」という電光表示があり、マイナス4度となっていた。寒いはずだわ。

ホテルに正式チェックインの後、再度バス停へ。
この頃になると、バス停には「NHK杯国際フィギュアスケート大会会場行き」などと書かれた紙が貼られ、バス案内所の辺にもバス停付近にも、バス会社の職員さんたちが拡声器を片手に立つようになった。
丁寧に、実に丁寧に案内をしてくれる。

こんなにも。
歓迎されていたのか。この街に。この大会は。

『ふるさと・旭川 2000年記念』
改めてじっくりと見れば、ポスターにもチラシにも、その文字がくっきりと刻まれている。
街中が、この大会を盛り上げようとしてくれている。
この大会が無ければ、来る機会など無かったかもしれないわたしたちに。暖かい、歓待。

「○○番、××行きのバス、到着しました。大雪アリーナへは、このバスは参りません」「雪による交通事情でバスが遅れているようです。大雪アリーナ行き○○番のバス、まもなく参りますので、申し訳ありませんが、どうかもう少し御待ち下さい」

そんな職員さんたちの声を聞きながら立っていると、やや年配の女性から声をかけられた。
「大雪アリーナへは・・・ここで、いいんですか?」

「あ、ここのはずですよ」と答えながら、少々驚く。何で、わたしに声かけたんだろうな? 他にもたくさん待ってる人はいるのに。
しかしもちろん悪い気などするはずもなく、軽くお話しながらバスを待つ。こんなとき、誰か話せる相手がいると嬉しい。

ようやくバスが来て乗り込み、隣に座ったその方とまたしばらく話をする。
「どちらからいらしたんですか?」と聞いてみると、「いえ、市内なんですけどね」

は? はい?? わたし、地元の方にバスを聞かれたわけ?

よくよく聞けば、同じ市内と言っても、この辺りにはほとんど来ないのだということ。
そりゃそうね、同一区内といっても、縁が無ければ足を踏み入れない区域は実に多い。考えてみればあたりまえ。
わたしが、東京からこの大会をただ“観る”ためだけに来たのだ、と知って、おばさまはとても驚いていた。

「ご自分でもなさるんではないの?」「どなたか、お知り合いが出てらっしゃるの?」
いやその、ただ観に来ただけなんですよ。すごく好きで、応援している選手はいるのだけれど。
この心理は、理解するのにとても難しいものだったらしく。
でもわたしとしても・・・そんな、予備知識も何もないまま、ただ来てみた、というおばさまこそ凄いと思ったし、また素敵だとも思った。
ウィンタースポーツの根付いた街。

アリーナが見えてくる。運転手さんのアナウンスも実に丁寧だった。
さくさくと雪を踏みしめて、入り口へと向かう。座席を確認しあって、おばさまとはそこで御別れ。

ロビーは、あったかい。
まずはプログラムと・・・それから『World Figure Skating 3』。発売間に合いましたね。
それから『新版・フィギュアスケートへの招待』。

うう~ん。旧版も、持ってはいるのだ。おそらく巻頭のカラー写真と、終章の“オリンピック展望”が差し替えられているだけだろう。。。が。
ダメだ。買ってしまった。この手のモノに出し惜しみすると、後で絶対後悔する、と自分に言い訳(^^;。

食べ物飲み物各種、うどんやおそばも売っている。暖まりたいときはここに来よう。
大型ディスプレイがずらりと並んだ一角では、デジタルBSのデモンストレーション。そうか、今日から。そっちは生放送なんだ。だからといって、そうそう簡単に買えるものではない。まだまだ、庶民には高すぎる(T_T)。

花屋さんの出店。ミニブーケひとつ500円だが、かすみ草が添えられ、小さく切ったオアシスまで入れてある。これなら飛びやすいだろう。
「全体を覆っていない花束は、持ち込みできません」という趣旨の張り紙もあり、花束をチェックしていた。
もちろん、ここでラッピングしなおしてもくれるのだろう。すごーい、こんな丁寧なの初めて。

ホワイトボードに、スターティングオーダーが掲示してある。
同じ紙をもらって、リンク内に入る。
と、男子の練習中だった!
あわてて目を泳がせる。あ、武史くん、いた。
黒の上下、珍しく首周りが開いている。ネックレスが揺れる。

うわあぁ・・・何だかますます・・・ますます・・・何だろう。
わかんないけど。何だかますます。(何なんでしょね?)
リンクサイドにはダグコーチ。
それから・・・おー、エルヴィス~。
(このときは、普通に練習していたのだ。よもや翌日、斯様なことになろうとは・・・)

程なく、練習終了。何だか得した気分だわ(笑)。
お客の入りはそれなり、昨日は満席だったとか(チケットがあちこち配られたという話。いいじゃない、それで観に来てくれるのだから!)。
教育関係の招待だろうか、子供率が実に高い。

先に書いてしまうと、大会を通して子供たち、みんなとってもお行儀が良かった。
ぐずったり泣いたりせず、面白そうに演技を眺めて拍手し、時折「○○~!!」と応援したりする。
選手のところに、てて、と駆け寄っていって、サインねだったりしてる。
うん、うん、君たち、いいよ! 実にいい。

フイギュアの認知度や人気はどの程度のものか、それはわからないけれど。
子供たちに限らず、なんとなく来てみましたの地元の人たちも、みんなそれぞれ楽しんでいる風に見えた。
ウィンタースポーツの根付いた街。

そうこうしているうちにファンファーレ。競技が、始まる。

今日は金曜日。一緒にチケットをとった友達は、皆明日からの観戦なので、今日は一人だ。
もちろん、既に来ている友達もいるのだが、席が離れている。ちょっとだけ挨拶してまた後でね、と座席を探す。

スタンドのブルーシート一列目・・・・・・ありゃ。
か、階段の真脇か(^^;。
しかし、荷物も余裕で置けて、悪くはない。死角も、まあまあ無い。何より、ジャッジ側。それが嬉しい。

チラシで座席の位置を確認したとき、どうしよう・・・と悩んだのだ。リンクサイド席は、リンク端かショートサイドにしかつくられないらしい。
結局、スタンド席にした。“風”は直接感じられなくても、全体を眺めよう。そう思って。

今日は男子の競技は無いから、比較的平穏に楽しんでいられるかな。